西普天間住宅地区返還にあたり、十分な環境調査を求める会長声明

投稿日時 【 2015年 07月 07日 】 | カテゴリ: 会長声明一覧

 西普天間住宅地区返還にあたり、十分な環境調査を求める会長声明

 

 2015(平成27)年3月31日、米軍キャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区(約51ヘクタール)が日本側に返還された。これは、従前の「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」(いわゆる「軍転法」)が改正され、「沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法」(以下「跡地利用特措法」という。)が適用される初めての軍用地返還である。

 跡地利用特措法は、同法8条に定める返還実施計画に基づき、土壌汚染や水質汚濁の状況、廃棄物の有無等について返還後に国が調査し、土地を利用する上で支障となるものについて、土地所有者へ引き渡す前に除去するものとしている。

 西普天間住宅地区においては、2014(平成26)年8月、宜野湾市教育委員会による文化財試掘調査中に土中からドラム缶が発見された上異臭が確認され、その後の沖縄防衛局の調査でも新たにドラム缶が発見されるなど、土壌等の汚染が強く疑われる状況にある。

 そもそも米軍が汚染物質等の除去責任を負わない現行日米地位協定の問題点はひとまず措くとしても、軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別の措置を講じ、もって沖縄県の自立的な発展及び潤いのある豊かな生活環境の創造を図ることを目的とする跡地利用法の趣旨からすれば、国が、責任をもって汚染状況等を調査し、速やかに汚染物質等の除去を行わなければならない。また、その実効性を担保するためには、国による調査結果は市民に公開される必要があるし、地元自治体も、国による調査結果をそのまま鵜呑みにするのではなく、できる限り独自の調査や検証作業を行うべきである。

 それにもかかわらず、沖縄防衛局が2014(平成26)年12月に公開した調査結果(「西普天間住宅地区内報告書」)は、ドラム缶を含む現場写真が米軍からの許可がないという理由で非公開とされた(現在は公開)。また、沖縄県や宜野湾市は、独自の調査や検証を行っていない。

 そのような中、西普天間住宅土地区画整理事業の沖縄県環境影響評価条例に基づく環境アセスメントが行われることになり、事業主体である宜野湾市は、2015(平成27)年2月、環境影響評価配慮書を公開した。しかし、米軍跡地であることの特殊性に配慮した内容になっているとは言い難く、土壌汚染については「引き渡しの前に土壌汚染の調査並びに処理が行われるため、工事中に汚染土壌を拡散させる恐れはない。」などと記載されており、市独自にチェックする姿勢はみられない。

 このような状況では、地権者の不安は解消されないし、地域住民の安全も保障できない。西普天間住宅地区の返還にかかる環境調査の現状は、県民の健康や財産を保護する上で不十分なものと言わざるを得ない。

 過去に沖縄県では、米軍返還跡地から重大な汚染物質が発見される事例が発生している。沖縄市サッカー場では最近でも次々にドラム缶が発見され、土壌等汚染の深刻さが明らかになっている。また、過去には北谷町内の米軍跡地からも大量のドラム缶が発見されたことがある。返還跡地の速やかな利用は県民の願いであるが、安全性がおろそかにされることがあってはならない。

 よって、当会は、沖縄防衛局に対し、西普天間住宅地区に関わる調査結果を積極的に公開した上で、さらに必要な調査を尽くし、跡地利用特措法の定める国の義務である、土壌汚染・不発弾の除去等の支障除去措置を徹底するよう求める。また、宜野湾市においても、沖縄防衛局の調査結果をただ受け取るのではなく、積極的に情報開示を求め、独自の調査・検証を行う必要があると考える。そして、沖縄県も、市町村任せにするのではなく、県民の健康と財産を守るため、積極的に関与すべきである。

 西普天間住宅地域の返還は、跡地利用特措法が適用される最初の返還である。当会は、これからでも、国、県及び市が、今後のモデルとなるような十分な環境調査を実施するよう強く求めるものである。

 

                          2015(平成27)年7月7日

                                     沖

                                 会 長  阿波連 光 






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