布川事件再審無罪判決に関する会長声明
投稿日時:【 2011年 12月 12日 】    

 

布川事件再審無罪判決に関する会長声明
 
 
 2011年(平成23年)5月24日,水戸地方裁判所土浦支部は,いわゆる「布川事件」について,被告人とされた桜井昌司氏と杉山卓男氏に対し,再審無罪の判決を言い渡した。
 両氏は,1967年(昭和42年)10月に逮捕されて以来,1978年(昭和53年)の上告棄却による確定を経て1996年(平成8年)に仮釈放されるまで,29年もの長期にわたり強盗殺人犯の汚名を着せられたまま身体拘束を受けたものである。その間の両氏の精神的・肉体的苦痛は想像を絶すると言う他なく,さらには,両氏の有為の将来をも奪う結果となった本件冤罪事件の被害は極めて甚大であると言わざるを得ない。
 本件は,別件逮捕を端緒とする身体拘束の下,脅し,偽計,誘導による自白の強要がなされたものであり,捜査機関の支配下にある留置施設を舞台としたいわゆる人質司法の問題点,また,証拠隠しや自白テープの変造等の捜査機関における証拠の恣意的取扱いといった問題点が噴出した事件であった。
さらに,捜査機関のこのような違法・不当な捜査手法に歯止めをかけ,冤罪防止の最後の砦たるべき裁判所においても,指紋等の犯人性を示す物的証拠が皆無であったにもかかわらず,安易に自白を偏重して有罪を認定した。
 今回の判決は,これらの問題点を指摘して無罪としたものであり,当然のことではあるが,ようやく正義が実現されたことは評価できる。しかしながら,他方で,違法・不当な捜査及びこれらに基づく誤判により,両氏の受けた苦しみ,被害は回復不可能ともいうべき甚大なものであり,警察・検察及び裁判所は,現に生じさせた冤罪被害の甚大さに鑑み深く自戒すべきである。
 当会は,引き続き,虚偽自白を生み出し,不法な取調べの温床となっている留置施設への未決拘禁者の身柄拘束の廃止,取調べの全面可視化(取調べの全過程の録画)と取調べにおける弁護士立会請求権の実現,証拠の全面開示の実現など,冤罪を防止するための制度改革を実現するために全力を尽くす決意である。
 さらに,冤罪事件の原因の調査究明と,将来の冤罪防止へ向けた諸制度の運用改善に直ちに着手することを最高検察庁及び最高裁判所に求めるとともに,単なる運用改善を超えて必要かつ十分な立法措置を速やかに実施するよう,国会及び内閣に強く求めるものである。
 
 
2011年(平成23年)12月12日
沖縄弁護士会会長  大 城 純 市

 
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