割賦販売法の抜本的改正を求める会長声明
投稿日時:【 2007年 05月 30日 】    

 割賦販売法の抜本的改正を求める会長声明


 


  現在,経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会及び消費経済部会では,割賦販売法と特定商取引法の見直しに関して審議中である。



 割賦販売法が規定するクレジット契約には,代金後払いで商品を購入できるという利便性があるが,その一方で,消費者の支払能力を超えた信販会社による過剰与信が多重債務問題の一因となっていること,また,多くの詐欺的商法において悪質業者がクレジット契約を利用しているという実態があり,クレジット契約が消費者被害の温床となっていることも見逃せない事実である。当県においても,クレジット契約によって多額の債務を負担する多重債務者や,クレジット契約を利用して不要かつ不当に高額な商品を購入させられるなどの被害が後を絶たない状況である。


 このような消費者被害を防止・救済するため,クレジット契約について,信販会社の責任を明確にし,公正な取引を確保して消費者の保護をはかる法的措置が是非とも必要であるが,現行割賦販売法は,このような制度が決定的に欠落していると言わざるを得ない。


 よって,当会は,国に対し,以下の事項を実現する割賦販売法の抜本的法改正を強く求めるものである。



1 信販会社の加盟店管理責任の明確化


 信販会社は,加盟店を通じて消費者とクレジット契約を締結しているが、加盟店を増やすことによってクレジット契約数を増加させ、手数料その他の収入をあげている。


 他方,クレジット契約が詐欺的商法に利用されても,悪質業者を加盟店とした信販会社の責任については,現行法上明示の規定がない。そのため,被害者が信販会社の責任を追及することは困難であり,被害救済が困難になっている。すなわち,悪質業者は無資力であったり,消費者との取引後所在が不明となる事態が往々にしてあり,消費者は,悪質業者に対しても,その悪質業者を加盟店とした信販会社に対しても責任追及できず,結局は,泣き寝入りを余儀なくされているという実態が存する。


 そこで,信販会社には,不適正な取引にクレジット契約が使われることを防止すべき義務(不適正与信防止義務)があることを法律上明示した上で,義務違反があった場合には,信販会社に民事上の損害賠償義務があることを明確にすべきである。


2 抗弁対抗の効果拡大


 現行法では,消費者は,契約の無効・取消・解除など,販売業者に対して主張できる抗弁を理由に,信販会社に対して未払金の支払いを拒絶することができるとされている。


 しかし,既に信販会社に支払ってしまった割賦金の返還については規定がなく,消費者が信販会社から既払い割賦金の回収を図ることは困難である。その結果,消費者は,販売業者自身から既払い金を回収できるという場合を除いては,既払い割賦金につき被害回復することができないという実情にある。


 そこで,被害救済の実効性確保の観点から,契約の無効・取消・解除事由があった場合には,信販会社は既払い割賦金の返還につき販売業者と共同の責任を負う旨の規定を設けるべきである。


3 適用範囲の拡大


 現行法は,政令による指定商品制を採り,指定商品以外には効力が及ばない。また,2か月以上にわたって3回以上分割の場合,もしくはリボルビング払いのみを規制対象としており,1・2回払いの取引には規制が及ばない。


 しかしながら,このように適用範囲を限定することには何ら積極的な意義は認められず,消費者が救済される範囲を無意味に狭めるものである。


 そこで,指定商品制は廃止し,全ての商品を適用対象とすべきである。また一括払いを含めすべてのクレジット契約を法規制の対象とすべきである。


4 過剰与信規制


 消費者の支払い能力を超えたクレジット契約(過剰与信)は,それ自体多重債務問題を生む素地となるばかりではなく,悪質業者が詐欺的商法にクレジット契約を利用することにより,消費者が不要かつ不当な高額商品を購入させられたことによって多重債務状態に陥るという甚大な被害をもたらすことにもなる。


 この点,現行法は,過剰与信防止について,抽象的な訓示規定(法38条)を定めているにとどまり,過剰与信を実効的に防止する規定がない。


 そこで,信販会社が消費者の支払能力を超えるクレジット契約を締結することを禁止し,この禁止に違反した場合につき,信販会社から当該消費者への請求権を制限する規定を設けるべきである。


5 個品割賦購入斡旋業者の登録制・契約書面交付義務


 「個品割賦購入斡旋」は,カードを利用せずに特定品物について割賦契約を行なう取引であるが,現行法では,個品割賦購入斡旋業者は登録制その他の規制対象となっていない。


 しかしながら,消費者被害が最も多発するのは,むしろ個品割賦購入斡旋取引であって,同取引に割賦販売法の規制が及ばないのは不合理である。


 そこで,個品割賦販売斡旋取引に登録制を導入し,斡旋業者に契約書面交付義務を定め,クーリングオフを認める等の法的規制を加えるべきである。


 


 クレジット契約による多重債務問題や深刻な悪質商法被害は根絶しなければならない。


 そして,上記の通り,割賦販売法の適用対象を拡大し,信販業者の責任を明確化することによって,信販会社が加盟店を適正に審査・指導を行うようになれば,クレジット取引に対する信頼を維持又は回復する結果にもつながる。クレジット取引の利便性を生かし,消費者が安心して利用できるようになるためにも,このような法改正が是非とも必要と考えられるのである。


 そこで,当会は,上記の通り,割賦販売法の抜本的改正を,強く求める。


以 上


 





2007(平成19)年5月30日



                                   沖縄弁護士会


                                    会 長  新 垣   剛


 

 
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